さが妊娠・子育て応援プロジェクト、通称『BigTree』に参加するメンバーに活動に取り組む想いを語っていただきました
子育てサークル活動から広がる温かい支援の輪
スーパーの店員さんとだけ会話する日々
結婚を機に縁のあった佐賀市に夫婦で住みました。当時、まだ子どももいなかったので、ホームヘルパーの資格を取り、介護施設に勤め始めましたが1年目で妊娠しました。待ち望んでいた子どもを出産してからは、いよいよ子育てだ、と喜びの反面、戸惑いの日々でした。地域との繋がりもなく、気軽に相談できる人がいなくて心細かったですね。20年ほど前は高齢出産と言われる年齢。そのうち、年子の次女も産まれて、家に閉じこもりっきりになりました。
その頃は夫も働き盛りで帰宅が遅く、早く帰って来たと思ったら、今度は子どもも起きて、なかなか寝つかない、生活のリズムがつかめない。眠気やイライラが常にあって外出する気力も起こらず、だけど、だれかとしゃべりたい。唯一話せたのはスーパーの店員さんでした。テレビで聞こえてくる会話ではなく、私に対して言葉をかけてくださり、生の日本語をお互いに交わした、と思える貴重な日常会話。でも、1歳半と生まれたばかりの子どもを連れて頻繁に買い物に行くわけにもいかない…などと悩んでいました。
どんな育児にもそれぞれ苦労がある
4月のある日、公民館の広報で若楠にこにこ子育てサークルの情報を見て問い合わせると、定員を超えていて私は待機会員に。翌月、スタッフから遠足の案内の電話をもらったときにはとても嬉しかったです。思い切って参加すると「よく来たね」と歓迎してもらって、珍しい名前のことで気さくに話しかけられ、「この名字でよかった」と思ったほどです。
意外だったのは年子の親子連れが他にいなかったことです。その中で、サークル代表の中村由美子さんが双子のお母さんだと知った時は驚きました。子育て講座の講師としても活動していた中村さんの講演を聞いた時、育児で苦労されてきたことを自分自身に重ね、思わず泣いてしまいました。たくさんの共感とともに、どんな育児にもそれぞれ苦労があると知って、その後、サークルに熱心に参加するようになりました。
また地域で応援してくださる人とも出会えたんです。折り紙をプレゼントする人や、抱っこボランティアのような人、「よう頑張りよんね」って声をかける人など、さまざまな方々に支えられてきました。
すばらしい仲間に恵まれて
サークルでは一会員だった私が、だんだん活動にはまって、スタッフ側へ。さらに、この仲間で託児チームができ、中村さんの子育て講座に付随した託児を任されるようになって、それは自分たちの自信にも繋がっていきました。初参加のお母さんがいたら一人ぼっちにならないように声をかけたり、廊下に出た子どもにすぐに気づいてそっと見守ったり、アイコンタクトをとりながらフォローしたり。サークルでみんなが連携して自然と体得して来たことを、託児にも生かせたんです。
また、その講座を受けたママたちが「今度は自分が新しく受講するお母さんたちのサポート役になりたい」と言って手伝ってくれます。引っ越ししてもチームに参加するよ、と言ってくれる人もいます。私はこの活動を通してすばらしい仲間に恵まれ、子育て支援の新しい学びにもなりました。
一緒に手を繋いでやっていく仲間が増える BigTree
託児ではお母さんたちの育成をサポートして、私たちは子どもたちのその時間の笑顔のために尽くしていて、そこでお互いに情報共有できている。こんな風に多面的にみんなであったかく見守るのがとても素敵で理想的だと感じました。BigTreeではこれからそういう活動ができるんじゃないかと楽しみにしています。一緒に手を繋いでやっていこうって言える仲間が増えていることもまた嬉しいです。
迷ったり悩んだりしても大丈夫だよ!
「ちゃんと関われなくてごめんね」
「いっぱい怒っちゃってごめんね」
って娘の寝顔を見ながら泣いていたあのときの辛さや、迷ったり悩んだりしながらも一緒に成長してきたこと。同じように友達と声をかけあったり、喜んだりしたことがあって「今」があると思うので、あの頃の私に「20年後、あなたは楽しんでるから大丈夫だよ!」って言いたいですね。